冠嶽の記録
2022.03.10
2022年3月6日(日)13:00-17:00に旧冠岳小学校体育館を利用して〈私たちのいちき串木野2030〉というイベントを開催しました。
▼私たちのいちき串木野2030〜未来の自分とまちの未来を考える〜 とは
いちき串木野市の未来について語り合い、今から8年後の2030年に向けてひとりひとりが何を思い、どんな過ごし方をしていきたいのかを考えるきっかけづくりの場です。 当日は、清泉女子大学 山本達也教授の講演を聴いた後、6名のプレゼンターの発表を聴き、共感する・応援したいと思う人のブースへ移ってグループで対話をします。いちき串木野市内の活動を知るだけでなく、さまざまな人とのネットワークも生まれる機会であり、この日を境に参加者ひとりひとりが2030年について自分ごととして考えるきっかけになればと思い開催しています。
目的 想いでつながる/対話の文化を育む/関係性を深める/未来に向けた思考と行動を促進する/いちき串木野市内外のネットワークづくり
私たちのいちき串木野2030 まずは清泉女子大学 地球市民学科 教授 山本達也(やまもと・たつや)氏による特別講演から始まります。予測できない変化の激しい時代を受け入れどう生きていくか。地域でできる、一人でもできることがどんなことがあるのか、マクロな視点からミクロな視点までお話いただきました。はじめて触れる考え方に戸惑う場面もありましたが、参加者の皆さんは食い入るように真剣に耳を傾けていました。
特別講演 山本達也(やまもと・たつや)氏
清泉女子大学 地球市民学科 教授 / Edition4 Studies 代表理事 / もったいない学会 理事 / 縮小社会研究会 理事
専門は、技術と社会変動に関する政治と政策。次世代型中小都市は、どうやってテクノロジー(技術)を組み込みながら、自然との距離感のバランスをリデザインしていくのかをテーマに研究と実践を行う。2012年より生活の拠点を長野県松本市に移し、「信州まつもとのこれから」を見据えた各種活動を。2019年より鹿児島県いちき串木野市とも連携しながら「次世代社会のデザイン」の実践を手がけている。著書に、『暮らしと世界のリデザイン:成長の限界とその先の未来』(花伝社、2017年)など多数。
さて、先生の話を聞いて終わらないのが〈私たちのいちき串木野2030〉です!世界的な動向や、未来を迎えていくには一人ひとりの取り組みが必要ということが分かりました。では、身近ではいかがでしょうか?いちき串木野市でも未来に向けて活動している方がたくさんいらっしゃいます。未来に向けて一歩を踏み出している6名をお呼びしてプレゼンテーションとワークショップをしていただきました。
▼ プレゼンター紹介とワークショップの様子 ▼
西 美香さん
西果樹園 販売・営業・広報
静岡県出身。短大卒業後、ワーキングホリデーでニュージーランドに滞在。帰国後はアメリカに行く予定でしたが、なぜか鹿児島に嫁いで来ることになってしまいました。農業経験は全くありませんでしたが、家業の農業をする事になり約25年。今では、生産だけでなく、6次化にも精力的に取り組み、鹿児島県女性農業経営士、指導農業士、いちき串木野市農業委員をしております。
Instagram:@west_24farm
Facebook:西果樹園
▼プレゼンテーションのテーマ
サワーポメロが好き!
サワーポメロは、収穫から1か月ほど寝かせることで本来の甘酸っぱい味が楽しめます。発表では、サワーポメロの栽培の始まりから、名前の由来、美容・健康にも効果のある研究の結果まで、様々な魅力を知ってもらいたいと思っています。そしてファンを増やし、サワーポメロの知名度を全国区にして、数年後には、あの企業とタッグを組んで…。
▼ワークショップのテーマ
サワーポメロの美味しさを楽しめるファンを増やすために!
追熟したことによって今がとても美味しい時期のサワーポメロ。今日は実際にいくつかの柑橘系を実際に試食し、見た目・味・触感など五感で感じてもらいます。サワーポメロの魅力に触れたあと、美味しさを楽しめるファンをもっともっと増やすための魅力発信プロジェクトの一員として、アイデアを一緒に考えましょう。
橋口 真さん
たちばな学童クラブ
地遊人(地球・地元を遊ぶ大人)
甑島出身、中学より串木野へ。大学卒業後東京の会社へ就職し29歳で帰鹿。現在は放課後児童支援員、スポーツ指導者として家業を手伝っている。普段は『遊ぶ』を軸に、旅・キャンプ・釣り・絶景探し・呑み歩きをしており、それを通して自然と人に触れ合うことを楽しみに生活している。
Instagram:@shinihs888
プレゼンテーションのテーマ
このまちの資源を遊び尽くす
私はこのまちで散々遊んできました。その中で、見過ごしがちな景色や風景を子どもたちに伝えたり、Instagramで発信をしています。『遊び心』は大人も子どもも同じレベルで持っているものです。また、このまちにはまだまだ有効な可能性を秘めた施設がたくさんあると思っています。そんな私がとにかく皆さんに伝えたい事は、、、
▼ワークショップのテーマ
このまちイノベーション
この街だから、その時期だからこその景色や風景、有効利用の可能性をまだまだ秘めている施設や場所がこの街には眠っているハズです。それらを少しずつ起こしていきませんか?それには多種多様なアイデアと動く力を持った、たくさんのイノベーターが不可欠です。この場をキッカケに、未来のいいモノを収穫する為の土壌づくりを始めましょう!
真田 希実さん
いちき串木野市出身、在住。現在は、鹿児島女子短期大学を休学中。「生きづらい子の居場所づくり」を目標に、ひだまりカフェ(誰もが好きなことをして過ごせる場所)のスタッフ、フリースクールの支援員として日々勉強中。2022年1月から1dayフリースクールを月1でいちき串木野市内で開催している。
▼プレゼンテーションのテーマ
子どもの可能性に不登校は関係ない
「教育機会確保法」、みなさんはご存知でしょうか?2017年2月14日に施行された「不登校の子どもたちにも教育の機会を十分に確保する」という法律です。私は、「不登校という言葉をなくしたい」ということを人生のテーマとして、居場所づくりやフリースクールの活動を現在行っています。このプレゼンテーションを受けて、みなさんの不登校に対する印象が少しでも変わることを期待します。
▼ワークショップのテーマ
第三の居場所の必要性をみんなで考えよう!
自己紹介時に、学生時代の話をすることで、原体験に落とし込んでもらいます。また、2人1組になって、3つの質問を置いて対話の場を設けます。①もしも、目の前に不登校の子どもがいたらどう言葉をかけますか?②もしも、あなたの家庭や職場に居場所がなくなったら、まず何をしますか?③みなさんの第三の居場所はどこですか?当事者意識を持ってもらうことと情報発信をゴールとしています。
大平 良徳さん
冠遊会 / 仙人村 / 冠岳地区まちづくり協議会 / 松下集落公民館長
冠岳地区出身。ずっといちき串木野市で生きてきました。高校を卒業しJAに勤めるようになりました。市の青年団や青年会議所(JC)で8年活動し、小学校の子ども会を中心にどっぷり冠岳地区の活動へ。現在は冠岳で一緒に遊ぶ、遊びのイベントを作る冠遊会など様々な活動をしています。今思えば自分にとっての居場所づくりをしてきたのかもしれません。
Facebook:大平 良徳
▼プレゼンテーションのテーマ
元気で健康なセカンドライフをおくれる冠岳へ
現在人口180名、99世帯の冠岳地区。2030年にはもっと少なくなり生活も困難なことが増えたり、イベント開催も難しくなってきてしまいます。冠岳にある身体に良い豊かな資源を生かし、私にとっても訪れる人にとっても元気で健康なセカンドライフがおくれるような地域になったら良いなと考えています。また交流人口を増やしていけるよう引き続き活動を続けていきたいと思います。
▼ワークショップのテーマ
あなたが描く冠岳セカンドライフ
冠岳の年間カレンダーで冠岳で行われるイベントや見どころを知り、「もしも、自分が冠岳でセカンドライフを送るなら」を想像して、みんなでもしもの理想の未来(冠岳ver.)を語り合いながら、冠岳の魅力やこんなものが冠岳にあればもっといいなと思うものを、皆さんと楽しく見つけていきたいと思っています。
大迫 正純さん
「童心の森」創造プロジェクトチーム冠岳竹灯篭制作工房
冠岳小学校・生冠中学校出身(ん十年前)リフォーム業一筋40余年、完全リタイア(3年後)は実家の冠嶽を終の棲家とすべく、3年計画で実家をコツコツ週末セルフリフォームの予定。余生は所有林を整備し、眠った山を子供の頃夢みた秘密基地的な、大人が童心に還れる場所を造ろうと妄想中。
Twitter:@OOdp02
Instagram:@00suzufuku35
Facebook:大迫 正純
▼プレゼンテーションのテーマ
「童心の森」創造推進計画
遊休林となっている先祖代々の私有林を、活きた山にする為に、仲間を募り、クヌギの森をキャンピング場に、杉山は間伐してツリーハウスやいろんな大人が楽しめる「秘密基地」に、竹林は「タケノコの里」に、その過程で出る間伐材を副産物として、薪やツリーハウスの材料にしたり、竹は西さんを中心にした「竹灯篭制作工房」(仮称)で竹灯篭制作のワークショップを開催し、年末年始に冠岳神社に奉納。
▼ワークショップのテーマ
アナタなら森をシェアして何がしたい?
「童心の森計画」が実現したときには、地域の他の山林(森)所有者にも賛同を募り、同時に森をシェアしたい人たちに、いろんな山の中で出来る遊びや野外ゲーム(サバゲー、アーチェリー、アスレチックetc)を地域興しの一環として、いろんなアイデアを求める。
鮫島 百桃子さん
Ocean Diary
海が大好きで、静岡の大学で海洋学を学びながらダイビングを始め、卒業と同時にダイビングインストラクターとなる。いちき串木野市羽島の風景に魅せられ2014年に移住。静岡での活動で立ち上げたダイビングショップ〈Ocean Diary〉を移転し、ダイビングのツアーや講習をしている。また、マーメイドパフォーマーとしても活躍中。
Instagram:@mermaid.momo @ocean.diary.mermaid.momo
Facebook:Ocean Diary
▼プレゼンテーションのテーマ
人が来ると綺麗になる海を作りたい
普段ダイビングしている様子を映像で案内しながら楽しい活動についてお話しします。でも、実際の海の中は綺麗なところばかりではなく、水中に潜るダイバーしか目にすることの無いゴミ溜りの光景もあります。そんな現実を1人でも多くの人に知ってもらい、目に見えない水面下の世界に関心を持って頂ければと思います。
▼ワークショップのテーマ
ついでのゴミ拾い始めませんか?
近頃、環境問題のひとつとして危惧されているマイクロプラスチック。海岸を歩いていても大きなゴミは目につきますが、小さなゴミにはあまり目が行きません。そんな様々な海ゴミの存在の紹介と、海に出たら何が出来るのか。海と楽しく、上手に付き合うにはどうすれば良いのかを色々とアイディアを出し合えたら嬉しいです。
グラフィックレコーディング
グラフィックレコーディング(略してグラレコ)とは、会議や話し合いをみんなが目に見えるカタチに図やイラストを交えながら記録し、さらに学びを深められるようサポートする手法です。今回は、霧島市で活動をしている「らぁちゃん」と、いちき串木野市在住の「さやかちゃん」が協力して長丁場のイベントのグラレコをしてくれました!
最後に
先生の講演を聞き、未来に向けて身近で活動している人たち、今から一歩を踏み出そうとしている人の話を聞いた後は、一人一人がどんな一歩を踏み出していきたいか考えました。
記念写真を撮って『私たちのいちき串木野2030』イベントは終わり。2030年に向けてスタートを切りました!
運営 えんたく(小林礼奈、小林史和、黒瀬優佳、大重 絵理、佐藤 孝洋、上 泰寿)
Special thanks 西さん、大迫さん、にっしー、大平さん、のんちゃん、しんくん、ももさん、まりかちゃん、さやかちゃん、らぁちゃん、武田先生、市来さん、白石ちゃん、太郎さん
いちき串木野市では初めての取り組みで、皆様イメージが沸かないであろう中、快くご協力をいただき本当に感謝しています。
打ち合わせはコロナ禍ということもあり、ほとんどをオンラインで進めることになりました。オンラインに慣れない方、プレゼンテーションが始めての方、話し合いの場を作ることが初めての方。 初めてのことだらけ!!このイベント開催の裏で、いろんな挑戦があったということです。
自分と向き合うことは容易いことではありません。何を伝えるか、何をみんなと話し合うのか、未来どんな状態になっていたいか考えることは、正直しんどかったと思います。それでもそこを乗り越えて、当日は一人一人がどんな未来になったらいいかをそれぞれの言葉で伝えていただけました。
表に見えないところでこの場を作るために奔走してくださった皆様の支えもありできたことだと改めて感じます。本当にありがとうございました!!
不確実が約束された世界を、皆様となら生きていけるのではと希望が持てるようでした。